株式会社 アークリエイト
〒780-8085
高知県高知市大谷公園町20-15エスコートいさむI-210
Tel 088-840-6698
Fax 088-840-5444
設立:2003(平成15)年1月
ホームページ http://www.arcreate.co.jp/
【主要事業】
(1) 建築・土木工事業
(2) 建築・土木工事の積算・製作・管理・検査・技術指導及びノウハウの販売
(3) 構造物の製作及び工事における設計・積算・管理・検査・技術指導及びノウハウの販売
(4) 建築・土木の資材の製造及び販売
(5) 建築・土木の機械装置の設計、製作及び販売
(6) レーザ光線発生器を利用した工作機械工具、建築用工具、美術工芸品の新商品開発計画・企画・立案・製造
(写真=アークリエイトが開発した「つばなし工法」の施行例。ダイアフラムの出がなく、すっきりと美しい鉄骨造になっている)
鉄骨造の盲点から新たな開発へ
代表取締役社長・工学博士 : 内田 昌克 UCHIDA Masayoshi
大阪大学・大学院で溶接工学を専攻後、大手建設会社に勤めつつ工学博士を取得した内田社長。
転機になったのは、1995(平成7)年の阪神淡路大震災。無残にも崩れ落ちる建築群のなか、鉄骨造の接合部周辺の破壊に愕然。接合溶接の盲点に気付くなり、従来工法を改める研究開発に着手した。
折しも、同じ年に設立されたのが高知大学地域共同研究センター。新設の災害科学コースから助教授の就任要請を受けるや、55歳で高知県への移住を決意。大学では後に教授となった。
高知大学を拠点に、産学官による連携研究を重ねて開発したのが、鉄骨造の概念を一層する「WAWO構法」。
ローコストで災害に強い鉄骨造を念頭に、さらなる夢の実現へと設立したのが株式会社アークリエイトである。
(写真=WAWO構法の模型を指しながら、説明をしてくれる内田昌克社長)
近代のあらゆる技術は「溶接」で成り立つ
金属溶接の起源を見れば、紀元前3000年頃の太古の歴史まで遡ることができる。
その歴史ある溶接技術が、世界を変貌させる一翼を担ったのが19世紀の産業革命の時代。
内田社長は、人類の発展に必要不可欠な「溶接」について語ってくれる。
「溶接はモノをくっつけ、組み立て、多くの産業になっている。建設や造船、航空機、自動車、列車、橋梁、機械など、溶接技術がなければ、今に繋がる近代産業は成り立っていない」
(写真=KK-ONE工法による杭・柱の溶接施工状況)
WAWO構法
鉄骨造の従来工法の弱点を改め、より強度で美しい溶接接合を開発したのがWAWO構法。
なお、WAWOとは“Welding for Anti-Wave-Obstruction”の略である。
[従来の工法]
建築の主要構造を成す柱や梁などを組み立てる際、溶接するには以下の工程が必要とされていた。
(1) スカラップ=柱と接合させる梁の両端部に、裏当金を通すために設ける穴。
(2) 裏当金=梁に設けたスカラップを貫通するように添える金属板。
(3) エンドタブ=裏当金の両端部に添える金属板。
(4) ダイアフラム=梁が接合する部分の、柱からの出っ張り。
[WAWO構法]
従来工法で必要な上記の工程をなくした構法。
それにより、柱や梁などの仕口部(接合部分)の耐震強度が2.5倍に向上し、従来より安価で工期短縮な鉄骨造建築が実現。
さらに、余計な出っ張りのダイアフラムがない仕上がりで、より美しいデザインが可能。
KK-ONE工法
(写真=KK-ONE工法の現場状況)
建築には、地盤面に固定させる基礎が必要である。
ところが、従来の基礎工事の概念を一掃したのが、KK-ONE工法。
[従来の工法]
建物が建つ面積より周囲を広く掘り(作業の上で必要なスペース)、地中に強固なコンクリート基礎部を施工。
その工程では、掘るに応じて多くの残土処分の必要があり、敷地条件によっては隣地地盤への影響が出ないような養生も不可欠。さらに軟弱地盤では事前に地盤改良工事や、建築規模に応じて地中深く何本もの杭を埋め込む場合もある。
[KK-ONE工法]
コンクリートによる従来の基礎が不要。さらに、掘削鉄筋や型枠、コンクリートなどの大幅な縮減が可能。
適度なスパン(間隔)で鋼管の杭を地盤に直接埋め込み、サイコロの名の接合部材で、建物の柱となる鋼管材と溶接接合させるだけ。
地中部の鋼管杭は、摩擦力などによって強度を維持できる。
KK-ONE工法には、以下のような効果がある。
・従来の基礎工程で必要だった地盤面の大掛かりな工事が一掃。
広い範囲で掘る必要がないので、隣地への影響も少なく土留め工事が不要。
大型重機の必要もないので、騒音や振動も軽減できる。
コンクリート基礎は不要。
残土処理もほとんど不要。
・現場での高さや水平、傾きなどの調整も容易。
・杭と柱を接合する溶接の工程も容易。
・狭い敷地や軟弱地盤でも可能。
・工期短縮できる。
(図=KK-ONE工法と従来工法の比較)
KK-ONE工法で人口地盤が可能。21世紀の未来都市!
KK-ONE工法で大規模な人口地盤の開発へ!近未来の壮大な計画。
もし実現すれば、津波対策や都市開発の未来が夢のような世界になる。
例えば、通常の地盤面は車道や各交通網として活用。人口地盤の上に、人々が日常生活を過ごす広大な都市を設ける。そうすれば、津波などの災害の際、人口地盤の上で暮らす人々の安全は確保できる。
建築の歴史を辿るに、19世紀の鉄とガラスとコンクリートの3大発明がやがて世界の建築の歴史を変貌させ、20世紀の近代建築を成す主要材料になった。世界の建築家の大巨匠、ル・コルビュジエ(1887~1965年)は、ピロティの名の美しい柱で地上階を開放的な空間とし、屋上庭園などの様式を提唱した。
およそ100年を経た21世紀。かつて建物だけを持ち上げていたピロティが、KK-ONE工法によって、巨大都市を持ち上げる時代になるかもしれない。
(写真=ル・コルビュジエの代表作で、1931年にパリ郊外に建った住宅・サヴォワ邸。KK-ONE工法で、このような巨大都市の未来になるかもしれない。撮影:西森秀一)
「安心して住める家を、丈夫で災害に強い建築を」大震災で人命を救った建築例
2011年2月末、宮城県石巻市に竣工した「WAWO構法」の高齢者賃貸施設(6階建て延床面積約2600平方メートル)が、3月11日に東日本大震災に見舞われたものの建物は無事だった。しかも一帯はおよそ2mの津波に襲われたものの、近隣住民たちの避難施設として建物を開放。完成したばかりの建物が、地域の人たち約300人の命を救った。
「安心して住める家を、丈夫で災害に強い建築を」
この言葉を念頭におく内田社長にとって、震災後の経緯としては安堵感を覚える出来事になった。
(写真=宮城県石巻市・高齢者優良賃貸住宅の竣工写真および、東日本大震災後の状況)
震災対策技術展
2014年2月6日(木)と7日(金)、神奈川県横浜市の「パシフィコ横浜」で、第18回「震災対策技術展」横浜が開催された。
地震や水害、土砂、落雷、津波、突風、竜巻、火山など、自然災害対策を重ねる各種企業約250社が各ブースを設けるなか、株式会社アークリエイトも出展。
「WAWO構法」と「KK-ONE工法」を紹介する模型や実例写真、パネルなどを展示し、多くの入場者たちが内田社長の説明に耳を傾けていた。
(写真=第18回「震災対策技術展」の様子)
自然災害から人類を救う「溶接設計」
2014年3月、高岡郡中土佐町久礼に「WAWO構法」による3階建ての津波避難タワーが完成目前になった。
近年重視される震災対策として、耐震強度の高い「WAWO構法」と「KK-ONE工法」を駆使した防災施設の計画は、ますます進められている。
(写真=WAWO構法による、津波避難タワーの工事中の状況)
構造的に完成した良いものは美しい
社名の「アークリエイト」は、「アーク」と「クリエイト」の造語。
アークには、溶接アークやアーキテクチュア(建築)の意味を含み、クリエイトといえば「創造」である。
「創造こそ命!」をキャッチフレーズに掲げる内田社長。
55歳から暮らし始めた高知県の土壌を「海と山に囲まれた独立心の強い美しい県」と愛し、さらなる溶接設計の開発に取り組む日々。
「構造的に完成した良いものは美しい」
WAWO構法の実例と成果を示しながら、生き生きとした目で語り続けてくれた。
(写真左=WAWO構法による、宮城県石巻市・高齢者優良賃貸住宅の主要構造部)
(写真右=KK-ONE工法による駐車場)